第1節 新生活

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「アッくん超かわいいの~」 「またその話?」 親友の『佐藤久美子』はたまたまみたサッカーの試合でみた『家田敦斗』に夢中だった。 一目惚れみたい。 最近その話しかしない。 「だってかわいいんだモノ」 「はいはい」 クミコはメンクイだった。 かわいい系のイケメンには特に目がない。 付け加えるならセブ好き。 かわいい“プロサッカー選手”ならクミコには申し分ない相手だった。 ただ、手の届く相手ではないけどね。 最初わたしはクミコの“アツトフィーバー”は少し呆れていた。 と、いっても彼女の心理をまったく理解できないというわけでもい。 彼に対して全く興味がないわけでもなかった。 それどころか興味が出てきた。 でもわたしはもっといい人を発見しちゃったんだよね。 ある日、クミコがサッカー好きの友達から試合のビデオを借りてきた。 これは“日本代表”じゃなくて“Jリーグ”の試合だったんだよね。 クミコはもちろんアッくんがでてるから借りてきた。 「みてみてみて!アッくんアッくん!!」 クミコは予想通りというか予想を上回ってはしゃいでいた。 でもわたしの目はフォワードの選手に釘付けになった。 背番号が〝13〟だった記憶がある。 彼の激しい突破を見て「すごぉい・・・」と思った。 相手選手を押しのけたりそのばに置き去りにしたり。 水色のユニホームの選手は彼に翻弄されっぱなしだった。 彼はその日2得点あげた。 確かその選手は“柳原”とかいったかな? なんか彼のプレイにトキメイた。 もしかして“恋”? ちがうと思うけどそんな感覚を覚えた。 もともとわたしは石川の海岸沿いの町出身だった。 金沢とかいけば“地域リーグ”かあったし“Jリーグ参入希望”のチームも存在した。 でもわたしの住んでる町には“サッカー”なんて縁がなかった。 サッカーファンより圧倒的に野球ファンの方が圧倒的に多かった。 もちろんわたしの父も野球が好きだった。 “東京ギガンテス”がダイスキだった。 仕事から帰ってくるとビールを片手にテレビの野球中継にかじりついて1球に一喜一憂。 それがわたしの日常にある『スポーツ』の光景だった。
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