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「アッくん超かわいいの~」
「またその話?」
親友の『佐藤久美子』はたまたまみたサッカーの試合でみた『家田敦斗』に夢中だった。
一目惚れみたい。
最近その話しかしない。
「だってかわいいんだモノ」
「はいはい」
クミコはメンクイだった。
かわいい系のイケメンには特に目がない。
付け加えるならセブ好き。
かわいい“プロサッカー選手”ならクミコには申し分ない相手だった。
ただ、手の届く相手ではないけどね。
最初わたしはクミコの“アツトフィーバー”は少し呆れていた。
と、いっても彼女の心理をまったく理解できないというわけでもい。
彼に対して全く興味がないわけでもなかった。
それどころか興味が出てきた。
でもわたしはもっといい人を発見しちゃったんだよね。
ある日、クミコがサッカー好きの友達から試合のビデオを借りてきた。
これは“日本代表”じゃなくて“Jリーグ”の試合だったんだよね。
クミコはもちろんアッくんがでてるから借りてきた。
「みてみてみて!アッくんアッくん!!」
クミコは予想通りというか予想を上回ってはしゃいでいた。
でもわたしの目はフォワードの選手に釘付けになった。
背番号が〝13〟だった記憶がある。
彼の激しい突破を見て「すごぉい・・・」と思った。
相手選手を押しのけたりそのばに置き去りにしたり。
水色のユニホームの選手は彼に翻弄されっぱなしだった。
彼はその日2得点あげた。
確かその選手は“柳原”とかいったかな?
なんか彼のプレイにトキメイた。
もしかして“恋”?
ちがうと思うけどそんな感覚を覚えた。
もともとわたしは石川の海岸沿いの町出身だった。
金沢とかいけば“地域リーグ”かあったし“Jリーグ参入希望”のチームも存在した。
でもわたしの住んでる町には“サッカー”なんて縁がなかった。
サッカーファンより圧倒的に野球ファンの方が圧倒的に多かった。
もちろんわたしの父も野球が好きだった。
“東京ギガンテス”がダイスキだった。
仕事から帰ってくるとビールを片手にテレビの野球中継にかじりついて1球に一喜一憂。
それがわたしの日常にある『スポーツ』の光景だった。
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