第1節 新生活

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クミコとは同じ会社で同じ部署に配属されて知り合った。 わたしは家族に負担をかけたくなかった。 弟も大学進学を希望していた。 どうしても国公立の大学に入学したかった。 頑張って勉強して茨城のつくば市にある国立大に入学できた。 できれば東京の方がよかったんだけど入れたんだからこれでよしとしよう。 そこを卒業して半年が経過していた。 筑波市内の近くにある中小企業“筑波電子工業”という電子部品の会社で働いている。 部署は“需品管理部”だった。 配属当初は毎日が単調でいつも机で伝票や明細の整理で単調でつまらない毎日だった。 でも、そこでクミコと知り合ってからはなんていうか毎日が明るくなったていうのかなぁ。 彼女は東京の私立大を出ていた。 別に彼女の家は資産家でもなく特に裕福ではなかったらしい。 一人っ子だからだろうか? 彼女はわたしがおしゃれなイメージを持ってる女子大を卒業していた。 フランス語で“幸運”と意味の名前の大学。 彼女と知り合ってからは楽しい日々が続いた。 毎日、彼女といて飽きないだよね。 基本的に彼女は楽天家だった。 細かいことに気にしない。 そのくせ〝オトコ〟の好みにはうるさかった。 合コンにいっても『しょぼい』とか『ダサい』『セレブじゃない』とかいってほとんどの人を相手にしなかった。 それだけのことを言うあってクミコは“美人”だった。 目とか鼻とかの配置も形は絶妙でCMでよく見る女性ファッション雑誌のモデルみたいだし。 身長は168センチの長身でスタイルもバツグン。 もともと太らない体質でダイエットなんて努力も必要なみたい。 通りを歩いていて振り向かない人の方が少ないんあじゃないかな? 仕事もバリバリこなした。 速いから残業も少ない。 あいた時間は合コンに当ててるみたい。 わたしは仕事が遅いから彼女に同行できないの。 容姿も仕事みんな二重丸。 世の中に不公平を感じる・・・ 彼女が恵まれないのは〝オトコ〟だけ。 それだけはわたしと同じだな。
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