第1節 新生活

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物件は休日にふたりで探した。 土曜に数件の不動産屋さんを周った。 その際の足はわたしの愛車。 軽自動車の“ぽんこチャン” 平成14年車でけっこう古かったけどよく走ってくれていた。 でも出勤は自転車だから彼の出番は休日のみとなる。 わたし達が4件目の不動産で見つけて物件は研究学園駅まで徒歩10分。 築14年で軽量鉄骨構造2階建て6戸のアパートの1階の2DK。 6帖ほどのダイニングキッチンがあって6帖のフローリングが2つ。 敷金のみで5万円。 家賃は5万円。 1人2.5万円だから格安かもしれない。 会社まで徒歩でもなんとかいける位置にあった。 ほぼわたし達の希望どうりの物件だった。 最初はこんないい物件出てこなかった。 クミコが不動産屋さんのオジサンにちょっと胸元を大きく開けてそこを強調しながらセクシーに「オジサマ、もっといいのな・い・の?」と上目づかいで迫ったの。 そしたら机の奥のほうからこの物件の紙が挟まれたバインダーが出てきたの。 オジサンの視線はクミコのムネの谷間に釘付けだった。 わたしはそれを見ながら着てるTシャツの襟を引っ張って自分の胸をのぞいて見た。 「大きいっていいなぁ」なんて思った。わたしのなんかまな板だもんなぁ・・・ どこからムネでどこからお腹かわからないもんなぁ。 「はぁ」 クミコのとなりで小さくため息をついた。 ホントうらやましい。 なんて思ったりもした。 今回の引越しでも“ぽんこチャン”の大活躍・・・とは行かなかった。 彼の出番は物件の見学まで。 さすがに軽自動車では冷蔵庫とか洗濯機は運べないもんね。 今回はレンタカーで2トントラックを借りた。 運転はクミコがした。 近頃のトラックはクラッチないんだよね。 そう、オートマチックって今どき常識? 荷物の運びいれは朝の9時から約半日かかった。 ピストンでわたしの部屋とクミコの部屋1回づつ。 小物はわたしのポンコちゃんで事前に運んでおいたから早かった。 部屋に入りきらなかった荷物は必要な物意外売却または廃棄された。 わたしの部屋に無線ランが配置されノートパソコンでインターネットを閲覧できるようにしてある。 今日からここでクミコと一緒の生活がはじまる。
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