第1節 新生活

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クミコは「アッくん超かわいいの~」といいながら荷解きをしていた。 今はわたしも彼女部屋の整理のお手伝いしてる。 その荷物は“アッくんグッツ”がいっぱいだった。 タオルマフラー、背番号入りのTシャツ、帽子、リストバンド、バンダナ、下敷き、ポスター、ペナント。 ブロマイドは大事にフォトスタンドに入っていた。 ユニホームは〝赤〟と〝青〟がそろっていた。 白いのもあったかな。 どれも水戸で買ったらしいの。 いくらかかかったんだろ? よくここまでそろえたなぁ。 しかもクミコはクルマをもってない。 50ccのミニバイクを1台もっている。 それで荒川沖駅までいってそこから電車にのったらしい。 こないだの休みにいってきたみたいなの。 その日はわたしは休日出勤だった。 まさかここまで熱心だとは思ってなかったなぁ。 「はい、おみあげ」 とクミコはリング状の物を投げた。 「ありがと・・・」といながらわたしはそれを確認した。 リストバンドだった。 どうもショップのベンダーマシーンでアツロウくんの者が出るまで粘ったらしく5センチ四方の箱に赤、青、灰色のリストバンドがたくさん入っていた。 アツロウくんしか興味がないのがよくわかる。 カプセルの中には青いリストバンドに〝13 YANAGIHARA〟と書かれたものがはいってた。 この後わたし達はスポーツバーに行くんだけどつけていっちゃおうかな・・・
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