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とある村の小さな家で、一人の女の子が生まれました。
父親にとっても母親にとっても、その子は初めての子供でした。両親は女の子をとても可愛がり、やがて女の子は年頃の娘になりました。
愛情一杯に育てられた娘は、心優しく美しく、村のどの娘よりも素晴らしい娘でした。朝から晩まで仕事をし、他の家の手伝いも進んで受けるので、村のほとんどの人々は、娘の事が大好きでした。
ところが、そんな娘が大嫌いな人々もいました。村の他の娘達です。
誰かに恋をしても、村の青年はみんな娘に夢中です。大人達は娘ばかり褒めそやして、他の娘達の事はちっとも褒めてくれません。
他の娘達は次第に、娘を憎むようになりました。あんな奴いなくなれば良いのに、と陰口を叩き、そのうち娘をいじめ始めました。
娘が織った布に泥を塗ったり、靴に縫い針を入れたり、足をかけて転ばせたり……娘は、いじめられている事が辛くてたまりません。最初のうちは「私が何かいけない事をしたのだわ。もっと良い子にならなければ」と思いました。しかし娘がさらに働いて、大人達から褒められる程、いじめは酷くなるのです。
親を心配させてはいけないと、娘はじっと一人でいじめに堪えていました。ところが、長く堪えていればいる程、心が張り裂けてしまいそうになるのです。
我慢に我慢を重ねていたある日、娘は他の娘達から、機織り小屋の裏に呼び出されました。そうして、髪を掴まれてぶたれたり、服を破かれたり、お前なんか死んでしまえとなじられたりしたのです。
辛さをためこんでいた娘の心は、とうとう張り裂けてしまいました。他の娘達がいなくなった後、娘は泣きながら村から逃げ出してしまったのです。
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