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二
森を抜けて川を渡り、娘が町についた頃、辺りはすっかり暗くなっていました。
歩きながら沢山泣いた娘は少し落ち着きを取り戻していましたが、髪はぐしゃぐしゃで服はびりびり、顔にはぶたれた痣があり、とてもそのまま家には帰れないと思いました。いじめられたと知られたら、親がどんなに心配するでしょう。
かと言って、娘は町に知り合いを持っていません。あてもなくトボトボ歩いていると、一人の露天商がボロボロの娘を不思議に思って呼び止めました。
その露天商がとても優しそうな顔をしていたので、娘は自分に起きた辛い事を全て話してしまいました。すると露天商は、娘の身の上に涙を流して同情しました。そして、夜は森に怖い狼が出るから、と、娘を家に連れ帰りました。
露天商とその妻は、娘を暖かくもてなし、食事を出してお風呂を沸かし、新しい服までくれました。露天商の家で一夜を明かし、なんて良い人達だろうと感激した娘は、朝食を食べながら、お礼に何か手伝わせて下さいと頼みました。
露天商は少し考えて、それなら商売を手伝ってくれと言いました。娘は喜んでそれを受け入れ、露天商と一緒に町に出ました。
道に商品を広げると、それらは飛ぶように売れました。道行く人々は娘の美しさに思わず足を止め、露天商から娘の話を聞き、同情して、娘を元気付けようと商品を買ってくれるのです。その人達がまた他の人達に「哀れで美しい娘がいる」と言って聞かせ、娘を一目見に訪れる人もいました。
娘と露天商の周りには、いつしか人だかりが出来ました。露天商は大喜びです。娘も露天商に喜んでもらえるのが嬉しくて、人々ににこにこと笑顔を振りまきました。
娘の話はやがて、お城の王子様の耳に入りました。退屈していた王子様は、噂の娘を一目見てみようと、従者を連れて町に出ました。
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