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娘と露天商は、突然現われた王子様を見てひどく驚きました。慌てて頭を下げましたが、王子様が娘の顔をよく見たいと言うので、娘はおそるおそる顔を上げました。
真っ白い雪のような肌に、黒壇のように黒い髪、血のように赤い唇を見て、今度は王子様が驚きました。どんな国のお姫様より、この娘のほうがずっと美しかったのです。
王子様は娘の手を取り、そっと口付けをしました。娘が真っ赤になって恥じらう様を見て、王子様は娘の事が、すっかり好きになってしまいました。
王子様は娘をお城に呼びました。親が心配するから帰らないと、と娘が言うので、王子様は従者に、娘の親への言伝を言い渡しました。そして再び、是非お城に来て下さいと娘に申し込みました。
娘は夢を見ているような気分で、王子様についていきました。
立派なお城につくと、王子様は娘を王様に会わせ、娘の身の上を話しました。王様もまた娘に同情し、それ以上に、娘の美しさに感心しました。こんなに美しく心優しい娘なら、王子様のお嫁に欲しいと娘に言いました。王子様も、その場で娘に求婚しました。
娘は、少し迷いました。しかし、村に帰っても、またいじめられるだけです。何より自分がお姫様になれば、親にもっと楽な暮らしをさせてあげられるのです。
そう考えて、娘は王子様の求婚を受け入れました。国をあげての盛大な結婚式を経て、娘はお姫様になりました。
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