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そしてお姫様は、毎晩鏡に話し掛けるようになりました。
鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだあれ?
鏡に映る美しい顔が、その答えでした。
やがて、お姫様は、王子様との子供を宿しました。王子様はとても喜び、きっと美しい子が生まれてくるよと笑顔を見せました。
お姫様もまた、同じ事を思っていました。 美しさこそ全て。美しければ、この世の勝者になれる。
お腹も大きく膨らんだ雪の日、お姫様は黒壇の枠のついた窓際に座り、子供に着せる服を縫いました。その途中、ちくりと指に針を刺してしまいました。ドレスを汚すまいと窓の外に手を出すと、指先からポタポタと、血が三滴雪に落ちました。
お姫様はそれを見て、まだ見ぬ命に、こう呼び掛けました。
願わくば、雪のように白く、黒壇のように黒く、血のように赤い子が生まれますように。
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