お通夜から葬儀へ

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葬儀の手配を済ませ お通夜の細かな準備は叔父や叔母にお願いした。 私は妹と 警察に向かった。 担当の刑事さんに話を聞きたかったからだ。 名前を溝辺さんと言った。 「どうぞ、こちらへ」 そう言って通されたのは取調室だった。 「来客の部屋が開いてなくてすいません」 ペコリと頭を下げた溝辺さんは 若いからか物腰が柔らかい人で 私は安心した。 「あの…母の自殺のことなんですが 少しおかしなことがあると聞いてきました。 どういうことなんですか?」 一瞬厳しい顔になった溝辺さんが答えた。 「まず、言っておきますが 警察は一度決着がついた事件を もう一度洗い直すということは ほとんどありません。 そのためには決定的な証拠がないと。 だからこれからお話しすることで 気になることがあれば 身内の方で調べてもらってかまいません。 警察は 本人の遺書とそれから 状況を見て 自殺と断定したので 遺体も特に司法解剖はしませんでした」 「つまり 何かおかしなことを見つけても いまさらどうにもならないってことですね。 わかりました。 こちらで勝手に調べます。 資料だけ見せてください」 溝辺さんは ファイルを持ってきてくれた。
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