お通夜から葬儀へ

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葬儀社に着いたら ギリギリ遺影の変更に間に合った。 「それから…これなんですが…」 私はさっき溝辺さんから受け取った遺書を見せた。 『葬儀は××支部の○○に全部頼んであります。 だから○○に連絡してください』 ××支部…それはある宗教団体の支部で ○○とは何年か前に母から聞いたことがある その団体の支部長の名前だった。 遺書を読んだ葬儀社の人の顔色は変わらなかった。 「ご遺族の考えとしてはどうですか?」 「本人の意志は叶えたいのですが うちの親族はみんな その宗教に関しては反対していました。 その宗教に何年か前 弟と入信して 弟はその布教活動で東京まで行き 無理がたたって心肺停止状態で杏○大学病院に運ばれました。 そんなことがあって その宗教からは抜けるように さんざんみんなから言い 本人もやめたと言っていたんですが まさかまだ入信していたなんて…」 「ご家族は誰もご存知なかったんですね?」 「はい」 「今後の法事にも関わってきます。 一度帰られて話し合われてきてくたさい。 まだ時間はありますから」 諭すようなゆったりした話し方で 私たちに言ってくれた。 「そうします。 葬儀だけじゃありませんからね」 「決まり次第連絡してください」 私と妹は今度は急いで 叔母の家に向かった。
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