お通夜から葬儀へ

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「そこに頼むと香典も全部持っていくそうじゃないか」 「それより遺骨も決まったところに納めるとか…」 「先祖からの墓に入れてやろう」 「なんといっても 他にその宗教に入ってるやつがいないしな」 結論として 身内なんだから 身内の人間で送って法事も身内でやることになった。 私はほっとした。 弟は退院してきてから おかしくなってしまい 何回も自殺未遂を繰り返し 事件も起こしかねないということで 精神科に入院させていた。 その原因を作ったのが その宗教だと私は思っていたから もう関わりたくなかったし 母を委ねたくなかった。 「でも…その宗教の人たちって 怖いと聞いたことがあるよ」 妹が言った。 「地獄に落ちるぞとか言って 脅迫めいたことをするって聞いたことがある」 みんなは黙りこんでしまった。 「私のせいにしてください。 ミツエの娘が何も知らず 勝手に葬儀をとりしきったと。 文句があるなら 娘に言えと答えてください」 私はどうしても その宗教から母を離したかった。 私が責任を負えばいいと思った。 幸い私は遠く離れたところに住んでいる。 葬儀が片付けば ここから離れる。 だから大丈夫だと言った。
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