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だけどまわりにいる女子社員達はそんな大和怜の表情に誰一人気付かない。
彼を見ているんだよね?
あなた達は何を見ているの?
浮かれ過ぎて気付かないのだろうか?
「仕事が始まっていますからどいてくれませんか?」
大和怜は誰とも目を合わせることはなく、それだけ言うと女子社員を押し退けるようにしてその場を離れた。
静まり返る部屋。
誰一人として言葉を発することも、身じろぐことも出来ないでいた。
そんな中、大和怜は皺一つないハンカチをスーツのポケットから取り出すと、女子社員に触れた手を汚いものでも触ったかのように拭き始めた。
大和怜の行動は世間一般には有り得ないのだろうけど、彼がそうしたい気持ち、あたしにはわかるかも。
あたしは初めて、男性に共感した――
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