第二章

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「……お城へ行けばいいのね?」 森を歩きながら、背後から音も無く着いてくるチェシャ猫に問いかけた。 『うん、そうだね』 まるで他人事の様にチェシャ猫は言う。 アリスはため息をはいた。 (……意味がわからない。水の国?私はいつここへ来たの?) 考えれば考える程、疑問は頭の中を埋め尽くしていく。 (何故、私をアリスと呼ぶのだろう。シロウサギってなに?) 歩みを進める足を止めて、ふと思う。 (……どうやって来たのだろう) 思い出そうとしても、頭の中は霞みがかっている。 何処で何をしていたのかも思い出せない。 (……あ、れ…?) 私の名前…何だっけ? 急に背筋が凍りついた。 暑くもないのに、額からは汗が滲み出てくる。 「自分の名前が…思い出せない…」  
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