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「……お城へ行けばいいのね?」
森を歩きながら、背後から音も無く着いてくるチェシャ猫に問いかけた。
『うん、そうだね』
まるで他人事の様にチェシャ猫は言う。
アリスはため息をはいた。
(……意味がわからない。水の国?私はいつここへ来たの?)
考えれば考える程、疑問は頭の中を埋め尽くしていく。
(何故、私をアリスと呼ぶのだろう。シロウサギってなに?)
歩みを進める足を止めて、ふと思う。
(……どうやって来たのだろう)
思い出そうとしても、頭の中は霞みがかっている。
何処で何をしていたのかも思い出せない。
(……あ、れ…?)
私の名前…何だっけ?
急に背筋が凍りついた。
暑くもないのに、額からは汗が滲み出てくる。
「自分の名前が…思い出せない…」
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