第二章

3/7
前へ
/37ページ
次へ
「チェシャ…猫…」 心臓の音が、やけにうるさい。 まるで耳の中に心臓があるみたいだ。 『……なんだい?』 振り返り、猫の顔を見るが相変わらずのにんまり顔。 「私、誰?」 『アリスだよ』 「違うッッ!!私は…!!」 私は、誰…? かたかたと、体が震える。 喉の奥から何かが出そうになる衝動を抑えながら、アリスは両腕を握り締めた。 「あ、あ……」 駄目だ。 このままでは… 「あ…あぁ…」 私は…… 「あああぁぁ…!!」 壊れて… 『アリス』 チェシャ猫が、私の頬に触れた。 その手は温かく…何故か私は理性を抑える事が出来た。 「チェシャ…猫…?」 『……どうしたんだい?』 にんまり顔のチェシャ猫が首を傾げた。 私は頭を横に振る。 「うぅん、何でもない…」 私は再び歩き始めた。  
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加