第二章

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再び歩き出したのはいいが… 「…チェシャ猫、一ついいかな?」 『なんだい?』 後ろにいる猫に、私は問いかけた。 「お城って、どこ?」 『…………』 私の質問に、猫が答える事は無かった。 そもそも、こんな質問をした理由は二つある。 一つはチェシャ猫が私の行く方角に何も言わないから。 もう一つは… 「かれこれ、何時間歩いてるの?」 そう、最初にいた所から既に数時間は過ぎている筈だ。 なのに城へたどり着くは愚か、森すら抜けていないのだ。 「…もしかして…迷子?」 『………』 この猫は何も言わない。 アリスは頭を項垂れた。 「何処かで休憩しない?疲れちゃった…」 『いいのかい?』 チェシャ猫が珍しく問いかけた。 その口元が、さっきよりもつり上がる。 『……他の事も忘れてしまうよ…?』 「?!!……さ…」 『さ?』 チェシャ猫が続きを促す様に、アリスの言うことを繰り返した。 「先を進みましょうッッ!!」 涙ぐみながら、私は再び歩き出した。 …早足で。 『休まないのかい?』 にんまりしながら、チェシャ猫が誘う。 しかし私はその誘いを振り切る様に無我夢中で歩き続けた。  
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