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「…ねぇ、どうやってあの中に入るの?」
私は湖をぐるりと見回した。
城は確かに湖の真ん中にある。
が、渡る橋らしき物は影も形も無い。
『歩いてだよ』
「…はい?」
この猫は…何を言っているのだ。
歩いて行く?
「あのね、お城に行くにはこの湖を越えなきゃ行けないの。でも橋らしい物は無い、だから行けないの。わかる?」
チェシャ猫は頷いた。
『橋が無くても、湖は渡れるよ』
駄目だこりゃ…
この猫には通じない。
『……』
チェシャ猫は無言で背後に立つと、有ろう事か、私を持ち上げた。
そのまま肩に乗せる。
「きゃっ…ちょ、チェシャ猫?!!」
有無を言わさず、チェシャ猫はアリスを肩に乗せたまま水面に足を踏み出した。
…落ちる…!!
ぎゅっと目を閉じたアリス。
しかし、予想していた事は起こらなかった。
恐る恐る目を開く。
「あ、れ?」
…水の上、歩いてる…?
『普通、水の上は歩けるよ』
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