第二章

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「…ねぇ、どうやってあの中に入るの?」 私は湖をぐるりと見回した。 城は確かに湖の真ん中にある。 が、渡る橋らしき物は影も形も無い。 『歩いてだよ』 「…はい?」 この猫は…何を言っているのだ。 歩いて行く? 「あのね、お城に行くにはこの湖を越えなきゃ行けないの。でも橋らしい物は無い、だから行けないの。わかる?」 チェシャ猫は頷いた。 『橋が無くても、湖は渡れるよ』 駄目だこりゃ… この猫には通じない。 『……』 チェシャ猫は無言で背後に立つと、有ろう事か、私を持ち上げた。 そのまま肩に乗せる。 「きゃっ…ちょ、チェシャ猫?!!」 有無を言わさず、チェシャ猫はアリスを肩に乗せたまま水面に足を踏み出した。 …落ちる…!! ぎゅっと目を閉じたアリス。 しかし、予想していた事は起こらなかった。 恐る恐る目を開く。 「あ、れ?」 …水の上、歩いてる…? 『普通、水の上は歩けるよ』  
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