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呆けたまま、アリスはチェシャ猫を見下ろした。
まるで当たり前の様に、猫は突き進む。
(…不思議)
チェシャ猫を見ながら、思った。
華奢そうな体なのに凄い力持ち。
しかも水面を歩くなんて…
(…理解出来ない世界ね)
気づいた時には既に城の門前にチェシャ猫は立ち止まっていた。
ゆっくりと降ろしてもらい、アリスは城を見上げる。
静かにたたずむ城は、近くで見ると微かに淡い青色に輝いていた。
感心していると、不意に城門が開いた。
まるで待っていたかの様に…。
「………」
生唾を飲み込み、チェシャ猫のローブの裾を握り締めた。
そして、城の中へ足を踏み入れる。
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