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声にならない悲鳴をあげる。
顔を覗き込んでいたねずみも、きゃあっと小さな悲鳴をあげた。
コロン、と後ろにひっくり返ってしまう。
「な、な、なに?!!」
少女、セシルは立ち上がり、バクバクする心臓を必死に宥めようと胸に手を当てた。
ひっくり返ったねずみを見て、セシルは我が目を疑ってしまう。
ねずみは小さな子供くらいの大きさだったのだ。
言葉を失っているセシルを尻目に、ねずみはまん丸黒目をパチクリさせ、首を傾げた。
《…アリス……?》
「…は?」
《アリスッッ!!やっぱりアリスだッッ!!!》
ねずみはセシルの顔面にその顔をぐんっと近づけ、手を握ってぶんぶんと上下にふる。
「ちょ、ちょっと…!!」
《良かったっ!!アリスッッ!!!!》
この際、ねずみの大きさはどうでもいい。
とりあえずねずみを止めようと声を荒げた。
「ちょ、アリスじゃないッ!!私はセシルよっ」
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