第一幕

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    言われるがまま見上げると、一本の木の枝に器用にも人が丸まっていた。 今にもへし折れそうな枝だが、折れる事は無かった。 音も無くその人(?)はセシルの前に飛び降りた。 しなやかな体。 全身、真っ青なローブを身に纏っている。 顔はフードを深く被っているせいで見えない。 が、耳まで裂けた口はにんまりと笑っている様に見える。 胸元には、水色の鈴がぶら下がっていた。 「だ、誰…ですか…?」 『僕はチェシャ猫。アリス、シロウサギを追いかけよう』 「チェシャ…猫……?シロウサギ…?」 突然、シロウサギを追いかけようと言われても…正直、困る。 「あの…チェシャ猫さん、でしたっけ?…ここは何処ですか?それにあなた…なに?」  
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