第一幕

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アリスの問いかけに、チェシャ猫と名乗る男(多分)は首を傾げた。 『お腹が空いているんだね?』 チェシャ猫はそう言うと、赤い林檎をどこからか取りだし、お食べ。とセシルに差し出した。 「お腹は空いてないし、答えになってないわッッ!!ここはどこなの?」 セシルが言うと、困ったのかチェシャ猫は押し黙ってしまう。 それでも、にんまり顔。 『……アリス、城へお行き』 「…お城……?どうして?」 また、チェシャ猫は押し黙ってしまった。 問い詰めようと、セシルが口を開こうとした時。 『…猫を責めるのはお止め、導く者は真実を告げる事は許されない』 か細い声が、セシルを責めた。 「…今度はなに?」 疲れた表情を浮かべ、セシルは声がした方を探した。 しかし、声の主はいない。 『アリス、ここは《水の国》さ』 「…水の国……?」 なおも声の主を探すが見つからず、とにかく疑問に思う事が最優先だった。 「どうして私はここに?何故あなた達は私をアリスと呼ぶの?」 『アリスは自らが望んでここへ来たのだよ。さあ、シロウサギを追いかけて時間を取り戻すんだ』  
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