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アリスの問いかけに、チェシャ猫と名乗る男(多分)は首を傾げた。
『お腹が空いているんだね?』
チェシャ猫はそう言うと、赤い林檎をどこからか取りだし、お食べ。とセシルに差し出した。
「お腹は空いてないし、答えになってないわッッ!!ここはどこなの?」
セシルが言うと、困ったのかチェシャ猫は押し黙ってしまう。
それでも、にんまり顔。
『……アリス、城へお行き』
「…お城……?どうして?」
また、チェシャ猫は押し黙ってしまった。
問い詰めようと、セシルが口を開こうとした時。
『…猫を責めるのはお止め、導く者は真実を告げる事は許されない』
か細い声が、セシルを責めた。
「…今度はなに?」
疲れた表情を浮かべ、セシルは声がした方を探した。
しかし、声の主はいない。
『アリス、ここは《水の国》さ』
「…水の国……?」
なおも声の主を探すが見つからず、とにかく疑問に思う事が最優先だった。
「どうして私はここに?何故あなた達は私をアリスと呼ぶの?」
『アリスは自らが望んでここへ来たのだよ。さあ、シロウサギを追いかけて時間を取り戻すんだ』
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