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「ごめん。顔洗ってた。」
捕まれた手にぎゅって力が入って
うつむきながら小さい声で呟く。
顔をのぞき込めば
アルコールに染まった肌よりも赤い目で見上げてくる。
まるで子供みたいに。
まるで犬みたいに。
それが
懐かしくて
可愛くて
愛おしかった。
『ほれ。わすれもの。』
思わず微笑みそうになったから
ポケットからサングラスを取り出して
子犬みたいなその目を遮った。
『さぁ帰りますか』
離れた手を今度は俺が握り直して
戸惑ってる亀を止まってるタクシーに押し込んだ。
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