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……………好き?
「ねぇ…好き?」
『………好きだよ。』
「…会いたい?」
『あぁ。会いたいよ。』
受話器から聞こえた涙声。
次から次へと
女が期待してるだろう言葉を
紡ぎ出す俺の唇。
『…………はぁー』
電話を切った後も動く気がしなくて
壁により掛かったまま立ち尽くした。
だから好きってなんだよ。
会いたいってどんな気持ちだよ。
自分の唇が発した言葉。
でも本当の気持ちなんて少しも入ってなくて
俺の心は何処に行ったのかな。
何処で落としてきたんだっけ。
いつから彼女って存在が
大事なものじゃなくなったんだっけ。
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