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ダイニング
天使と悪魔がダイニングのテーブルで
トランプしてる
目も擦ったし
ほっぺも抓った
目が覚めそうな方法をひとしきり試してみたけど
変わらない景色がそこにあって
悪魔はいう
「ジョーカーは天使をプリントすればいい」
「君はなんでも僕に押し付けるね」
「僕、トランプよりウノがしたかったのに」
天使は数字の合った二枚のカードを置いた
彼らは礼儀正しく
冷蔵庫からお茶を出してくれた
やかんが流しに置いてある
きっとお茶まで沸かしてくれたのだろう
天使と悪魔がダイニングのテーブルを
拭いている
手も洗ったし
食器も並べた
悪魔が鍋を運んできて昼食が始まったけど
天使は食欲がないようだ
僕は言う
「うどんおいしいよ。君は食べないの?」
「君もなんでも押し付けるタイプ?」
「僕が女の子だったら君を愛せないね」
天使は箸を転がしながら上目で僕を見る
彼らは仲がよく
言葉を風船のように膨らまし
悪魔が話に飽きてくると
天使はのびたうどん見て腹を鳴らした
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