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これは……そう、魔放を唱える呪文だ。
「九龍様、後はあなたの呪文で魔放は完成されます」
やっぱり、声の主はどうやら九龍お姉様と呼ばれる人物が所持してる本からだった。
「最期に、この学院に侵入した男の末路、教えてあげましょう!」
末路……?それは一体……
「それは、我が魔放で消滅させる事よ!暗き闇よ、我の名の元に、滅せよ!ダーク・イリュージョン!!」
その瞬間、本から紫の煙が無数に飛び交い、私の周りを包んだ。
体が、体が動かない!
どうして……
そうか、分かったよ……怖いんだ。
本当の実戦をした事がないから……こんなにも怖いなんて知らなかった。
私、このまま死んじゃうのかな……。
……死にたくない、こんな所で死にたくないよ。
「嫌だぁ!!こんな所で死にたくないよ!……誰か、誰か助けてっ!」
私は頭を抱え、絶叫した。
遠く、遥か遠くまで聞こえるように。
「汝よ、示せ。聖なる光を浮かべ、願いを我に示せ。そして我が名を呼べよ。……ホーリークロスと!」
なにやら声が聞こえたと思ったらその瞬間、私の口が勝手に開き、遥か先まで聞こえるように叫んだ。
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