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「ディグニティ、あれをやるわよ!」
そう言うと、相手が持っていた本が浮いたのである。
あの本は、どうやらディグニティと言うらしい。
そのディグニティが開いてる所から黒い玉が出来上がっていく。
その周りは、風が操られているかのように相手を軸に回っていた。
私は、あの玉を見て感じていた。
恐怖と絶望を。
「ギルアル・ゼル・ハウラド・ジト」
ディグニティという名の本は何らかの呪文を唱えてた。
何故だか、魔力がどんどん圧縮されている感じがする。
そういう状況だから感じとられるのだろうか。
「今です、九龍様」
その瞬間、ディグニティは相手の左手に収まり、もう一つの手には、先程の黒い玉が浮いていた。
「逝きなさい、メルガディス!」
そう言った瞬間、相手からあの玉が直球で投げられた。
私は、何も出来ず、ただ目を閉じるだけだった。
そして目を閉じていた私に聞こえたのは、爆発音だった。
それもどんでもない大きい音で。
しかし、爆発音から考えれば私は今頃、痛みを感じているはずだ。
私は、恐る恐る閉じていた目を開けた。
ゆっくり、ゆっくりと。
その開けた先に広がっていた光景は、私の前に1人、こちらも純白の制服を着ており、凛とした茶色のショートヘアの少女が立っていた。
その少女が口を開く。
「いけないぜぇ、院内での殺傷は許されないはずなんだけどなぁ」
その少女からは勝ち誇ったかのような笑みがこぼれていた。
そして、相手は苛立ちと不機嫌そうな顔で、
「貴様は!………立花 日和!!」
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