♠一番目のアリス♠

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「アリスと言います。 ハクがこの名前を付けてくれました。」 私は、ハクを助けた救世主として快く迎え入れてくれた。 血だらけの私をハクと一緒に洗ってくれ、今は長老の家で温かいスープを貰っている。 私が“アリス”になって、初めての食べ物。とてもおいしかった。 「アリス様がいなかったら、今頃ハクは“歪んだ闇”に食べられて、消えていたでしょう。本当にありがとうございます。」 「ありがとうございます。」 長老が隣にいるハクと共にお辞儀をした。 (一応 私も助けられたんだけどね。) “歪んだ闇”って言うのは多分、あの狼と熊を合わせたみたいな黒いヤツの事だろう。 ……。 思い出すのは止そう。 「そこで、 アリス様にお願いがあるのです。」 長老が改まって言った。 「この集落に住んで、ワタクシめ共を守って下さいませんか?」 「喜んで。」 私は嬉しくて仕方ないというように首を縦に振った。 (私に帰る場所を作ってくれた。) 私は強い。 あの黒いヤツの一匹や二匹、簡単に殺れる。 こうして、私 もとい アリスはこの集落に身を置くことにしたのだった。  
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