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「アリスと言います。
ハクがこの名前を付けてくれました。」
私は、ハクを助けた救世主として快く迎え入れてくれた。
血だらけの私をハクと一緒に洗ってくれ、今は長老の家で温かいスープを貰っている。
私が“アリス”になって、初めての食べ物。とてもおいしかった。
「アリス様がいなかったら、今頃ハクは“歪んだ闇”に食べられて、消えていたでしょう。本当にありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
長老が隣にいるハクと共にお辞儀をした。
(一応 私も助けられたんだけどね。)
“歪んだ闇”って言うのは多分、あの狼と熊を合わせたみたいな黒いヤツの事だろう。
……。
思い出すのは止そう。
「そこで、
アリス様にお願いがあるのです。」
長老が改まって言った。
「この集落に住んで、ワタクシめ共を守って下さいませんか?」
「喜んで。」
私は嬉しくて仕方ないというように首を縦に振った。
(私に帰る場所を作ってくれた。)
私は強い。
あの黒いヤツの一匹や二匹、簡単に殺れる。
こうして、私 もとい アリスはこの集落に身を置くことにしたのだった。
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