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朝、集落の中央で、“ヒトであったモノ”を見つけた。
頭と胴が泣き別れして、四肢が無惨に千切り、噛み切られていた。
「アアアアア!!
にーちゃ!!にーちゃああ!!」
深紅の華を咲散らした中を、“ヒトであったモノ”の身内の男の子が駆け寄って行く。
強く抱き締め、泣きじゃくる。
男の子は染まっていった。
赤く紅く朱く、そして黒く。
「“歪んだ闇”の仕業だ。」
「何故こんなにも我々の心を黒く染めるのだ。」
長老が、住人たちが嘆くように呟く。
アリスは見た。
男の子が真っ黒に染まったのを、そしてアリスも真っ黒に染まったのが分かった。
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