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二つの声がして、語り部のおじさんが顔を上げて、声の主を見た。
「ああ、珍しいね。
こんな可愛い子達が物語を注文しに来るとは。
君たちはどこから来たんだい?」
声の主は金色の髪を持った姉弟の双子の子だった。
まだ幼くて、仲良く手を繋いで語り部のおじさんを見上げていた。
双子の子は語り部のおじさんにそう訊かれてクスクス笑いながら言った。
「あのね、
ハートの扉を通って来たんだよ♪」
「色んな扉を通って来たんだ。」
クスクスとまた笑う双子の子。
語り部のおじさんも笑顔で言った。
「そうか そうか、君たちはアリスか。」
「アリス?」
「アリスって何?」
双子はキョトンとしながら首を傾けた。
どうやら知らないらしい。
おじさんはニコニコしながら教えてあげた。
「アリスっていうのはね、この国に誘われて来た者の事を言うのさ。
君たちの他にもたくさんいるよ。
普通は自分の夢から来ることが多いんだけど、君たちは珍しいね。
まるで、物語の中の創造者、3人のアリス達みたいだ。」
「創造者?」
「3人のアリス?」
またしても首を傾ける双子。
この子達は好奇心旺盛だ。
「おお、ちょうど良かった。
じゃあ特別な物語を語ってあげよう。
この国、『ふしぎの国』が出来た話を。」
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