♠一番目のアリス♠

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  「いつまでも此処にいても 仕方がないし。」 そう言いながら周りを見渡す。 草だらけのジャンルみたいな地面に、一筋の道のようなものを見つけた。 ケモノ道だ。 「この道を行くか。」 とりあえず、このケモノ道をまっすぐに進んで行った。 何かの役に立つかもと、スペードの入った剣を右手でしっかりと掴んで。 時間感覚がおかしくて、どれくらい歩いたのか判らない。 でも、随分 歩いた気がする。 うっそうと茂った木々のせいで薄暗いからだろう。 そこに“何か”がいるような気配が。 大きな、 黒い、 毛が生えた、 恐ろしい、 “何か”。 「……!、ヒッ―――!!」 それを見た時、私の喉からは空気しか出なかった。 その黒い塊が、動いてる。 何かしている。 何かを食べてる。 ――― 目撃。 ――― 目視。 そいつ、と 眼があった。 ヒトを食べてた。 ―――ベチャベチャグチャグチャバキバキボリボリ。 既に、ヒトは肉片に変わり果てていたが、私は見た。 そいつの口から垂れる腕を手を、肉片の間から私を見ている目を。 「―――――――――――!!!」 声にならない悲鳴が私の喉から溢れ出た。 ――――目があった。 ( “殺される”。 )  
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