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念の為警戒しながら「ねえ」振り向こうとしたところで先手をうたれた。綺麗なソプラノ。
「こんな時間までどうしたの? 部活、やってなかったよね?」
完全に振り向くと、そこにいたのは見覚えのある女子生徒だった。見覚えはあるけど、はて、どちら様だったかな。
「あ、もしかしてずっと寝てたとか?」
「まあね」
女子生徒がクスクスと笑うのにつられ、長い黒髪が動く。口振りからしてクラスメイトだろうか。
「君は?」
「わたし? わたしはほら、風紀委員だからね。戸締まり」
面倒臭くてヤになっちゃう、と苦笑するので、僕も苦笑で応えてみた。お名前は、なんて今さら聞けないよなあ。
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