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誰かが泣いている。真っ暗な部屋の、隅っこで。
声を押し殺して泣いている。小さな体を、更に小さく丸めて。
このまま小さくなり続け、いつか消えてなくなってしまうのではないだろうかと思う程に。
ふわふわふわふわ。わたしは宙を揺蕩(たゆた)うように近づく。
――ねえ、君はどうして泣いているの?
伸ばした手は『誰か』をすり抜け、空を虚しく切った。
『誰か』は動かない。
ただ静かに静かに、涙を流し続ける。
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