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「おい、どうしたんだ!? 大丈夫かっ!?」
――っ!!
先生の、他人からの言葉が『わたし』の堤防を完全に還付なきまでに、ぶち壊した。
「すみません気持ち悪いです保健室に行かせてください」
早口で、なんの嘘も冗談も交えることなく、教室を出て行く。返事は待たない。
今まで全く気付かなかったが、机の上には小さな血溜まりが出来ていた。そして今現在も進行形で滴り落ちている。
ヘンゼルとグレーテルのように目印を落としながら、必死でトイレという鍵がかかる、他者と確実に切り離される場所に飛び込んだ。
そしてひたすらに吐いた。胃液しか出なくなってもなお、吐いた。
生理的な涙が溢れる。
血の目印を辿っても、『わたし』は『僕』には帰れない気がした。
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