11人が本棚に入れています
本棚に追加
◆ ◆ ◆
寝起きは最悪だった。
枕がしっとりと濡れ、まぶたは腫れぼったく、頭は鈍痛を発している。あの夢を見たときは、いつもこう。
夢から戻りきれない。まるで、思考に霧がかかっているかのような、はっきりしない頭で思う。
ああ、学校に行きたくないな、と。
それでも、もそもそと起き上がり、わたしは鏡の前に立つ。
寝起きは機嫌が悪そうと評判の『僕』だが、こうして見ると、なるほど。そう思いたくなる気持ちはわからなくもない。
目は光を失い、そして表情をも失せた能面のようなわたし。
ただ君達は勘違いしている。むしろこれが本当。君達と笑い合う『僕』こそが偽物なんだよ。
最初のコメントを投稿しよう!