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“ピーポー…ピーポー…”
救急車が橘総合病院に到着した。
救急車のドアを上げると、看護婦2人が待ちかまえていた。
看護婦2人は、タンカに乗せられている智貴と付き添いの琢磨を見て、顔色が青ざめる。
救急隊員が救急車からタンカを降ろし、
「こちらが、急患です!!」
タンカと簡単にまとめたカルテを看護婦2人に渡す。
看護婦2人は、“ハッ”と我に返り、タンカを集中オペ室へと移動させた。
琢磨は、その後を走って追いかける。
「急患です!!
お願いします!!
…腹部の損傷です…」
看護婦の1人は、タンカと一緒にそのままオペ室に入り、もう1人はオペ室に入らずに立ち止まり、琢磨の方を振り返る。
「琢磨…、何があったの…?
何で智君が…」
琢磨に近づき、肩に手を添え、悲しそうな表情を見せた。
そうなのだ。
この看護婦2人は、智貴の母と琢磨の母なのだ。
琢磨は首を横に振り、
「ごめん…
色々説明しないといけないんだけど…、詳しいことは…、…分からないんだ…
母さん…、智貴をお願いします…」
力なく母の肩にもたれかかる。
「琢磨…」
琢磨の母は、“ポンポン”と優しく肩を叩き、
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