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重々しい表情で、話す。
それを聞いた夢奈は、より一層、顔を青ざめさせ、首を左右に振り、
「私…、誘惑なんてしてない…」
涙を溢れさせながら、亜里早と愛海に訴えた。
琢磨と倖宏は、亜里早と愛海があまりにも、信じられないくらいに、祖母を信用している事に、愕然とする。
倖宏は、亜里早から手を離した。
美奈子は、泣き崩れる夢奈を慌てて抱きしめ、
「ごめんなさい…
ちょっと、夢奈は席を外させるわ…
倖宏…あとは、頼むわね…」
倖宏が思い詰めた表情で頷いたのを確認し、美奈子は泣き崩れる夢奈を、必死に支えながら、病院の外へと向かった。
亜里早と愛海の言葉に、倖宏と琢磨はぶつけどころのない怒りを噛み締める。
「…ちょっと、そこに座れ」
倖宏は、冷たい視線で、無理やり亜里早の腕を引っ張り、ソファ座らせた。
琢磨も愛海にソファを指差し、座らせる。
倖宏と亜里早、琢磨と愛海が向き合って、話を始めようとした、瞬間…。
切なそうな表情で、亜里早と愛海を見つめていた祖父が倖宏の肩に手を置き、
「倖宏……
亜里早と愛海にはワシらから話す…
いや、ワシが話さないといけないことだから、ワシに話させてくれ…
倖宏…、お前は…、夢奈ちゃんのところに行ってあげなさい…」
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