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あまりにも突然だった。
激しく叩きつけられたような、耳の奥にまで重く響く荒々しい音。
衝撃音。
それが鼓膜、そしてあたしの心にも衝撃をもたらせた。
――消えてしまった。
彼は、あたしの目の前からいなくなってしまった。
「う、嘘……」
その事実があたしの根幹を揺さぶり、指先が震える。
無我夢中で駆け寄った。
捻った足の痛みを感じてる余裕などない。
ただただ、あたしは彼の元へと駆け寄った。
「ねえ、どうして!」
叫ぶ。
呼び掛ける。
しかし返ってくるのは微かな声だけ。
うう、とうめく苦しそうな声だけ。
「ねえ、どうして……」
どうして返事してくれないの……?
すがりつく。
奪われてしまった悲しみに、あたしはすがりつくしかない。
酷すぎる……。
こんなの、あんまりだ。
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