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私は由流の言葉を
噛み締める時間が
必要だった。
「今は少し混乱してるだけだと思うから、また来るよ。由良が納得するまで、毎日でも。」
ベンチから立ち上がる由流
私は思わず彼の腕を掴んでいた。それに気がついた彼は、私のほうをじっと見つめた。
その瞳に吸い込まれるように
私は呟いた。
「由流・・・。」
由流がまた笑った。
えくぼがくっきりと浮かぶ。
「大丈夫だよ、由良。
僕はいつでも
君のそばに居る。
君を見守ってあげる。
だって、今までだって
そうしてきたんだから。」
『え・・・?』
ふいに桜が舞い上がる。
そして由流はその場から立ち去っていった。
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