『恋人』

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土曜日の遊園地。 家族連れやカップルで賑わう 「わー!コーヒーカップ!!初めて現物をみたよ!乗ろうよ、由流!!」 私は小学生のようにはしゃいだ。 初めて出会った日から 2週間がたった頃だった。 由流は毎日私に会いに来た。 時間は決まっていなかった。 大学の講義に紛れ込んで 一緒に授業を受けることもあったし、バイト中に喫茶店に来てお客さんとして居座ったこともあった。 その度気になるのは女性の目。 明らかに由流を見ているのに 由流は全く無関心だった。 私だけを見ていてくれた。 こんな恋人が居たらきっと楽しいんだろうとも考えた。 何度か男の子からの誘いはあったけど、そのたびに私はデートをする時間があればバイトをしたいと思って断った。 「遊園地に行こうよ」 そう言った由流からの誘いは、断る理由もなかった。 由流と長い時間一緒にいたいと考えていたから。
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