第十話

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      ここからバス停まで十五分。   自らの足で歩いていき、バス停を目指すのですが……     『この道以外にバス停へ行く道ってありませんか…?嫌な予感がするんです……』   「ある事にはあるが……三十分以上かかるうえに、車の通りが激しくてな……」       致し方有りません…か…… 僕の嫌な予感が当たらぬよう願いながらも僕達は進んで行きます。   一歩進むごとに僕は不安を募らせていきますが、無駄な心配は掛けたくは有りません。                 しかし、とある道の角を曲がった瞬間、僕の感じた嫌な予感は的中しました。   曲がったと同時に真っ白に広がる光景、低く唸るようなエンジン音。   そしてフラッシュバックする脳内―――       目の前に映る血にまみれた少女、速る心臓の鼓動、懐かしさを覚える美しい声。   唯一引っかかるのが、少女が笑顔で息を引き取ったと言う事……         「危ないっ!!!」       過去の記憶から引き戻したその声は、いつも聞いている凛としたソプラノ調。   そして体に加わる一瞬の衝撃と、背中を壁に強打した鈍痛……     暴走車に引かれそうになった僕を突き飛ばしてくれた神崎さん。   先程のフラッシュバック……       全身の血の気が引いていくのを身に感じ、通り過ぎた暴走車を無視して神崎さんと柊さんの姿を探し始めます。     二人の姿は向かい側にあり、共に倒れていました。         『神崎さん!柊さん!』     全力で駆け寄り、二人の側へ。 二人はピクリとも動かず、僕は最悪な状況を思い浮かべ――     「いたい…擦りむいた…」   「うむぅ…暴走車とは…大丈夫だったか二人共…?」       僕は二人が無事だった事に全身の力が抜けていき、思わず二人を思いっきり抱き締めました。   溢れる涙を抑えきれず、声を漏らしながら二人の無事を安堵しています。    
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