第十二話

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      生憎ですが、僕の家の風呂場は若干狭く、二人同時に隣同士になって入るには苦しいです。 しかし、事情が事情な訳で、柊さんには我慢してもらいましょう。     冷水にして、桶に溜めて柊さんの指をそこに浸けます。少々酷かもしれませんが、冷やさないといけませんし……       「むつきが舐めるのが良かったな……くすぐったかったけど…ぬるぬるしてて……」     無茶言わないで下さい。僕だって恥ずかしいんですから…! それに、何故か卑猥に聞こえて仕方がないのは僕の気のせいですよね…?       「でも…心配してくれてありがと…なのー。お礼は…何が良いかな…?」   『柊さんの指の痛みが早く消えるのが僕の望みですから』       それで、僕は柊さんの頭を撫でてあげました。髪を手でとかすように撫でると、柊さんは虚ろな瞳で僕を見てきました。     ……一応生気はありますね……         『柊さん…?』   「…えへへ……むつきは優しいのー」     ありがとうございます。   そう伝えた後、一緒に持ってきた救急箱から絆創膏を取り出し、柊さんの赤くなった指に巻き付けました。 勿論よく水気は取りましたよ?          
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