第十二話

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    顔を赤らめた神崎さんを見て、不覚にも見惚けてしまいました。 ギャップがどうこうなどでは無く、ただ純粋に――       『綺麗です』       何時の間にか、その言葉を発していました。 何でしょうか…それ以外には思い付かない…美しさを神崎さんから感じ取りました…!   しかし、僕は言葉を発した瞬間に我に還り、勢い良く口を塞ぎます。 聞かれましたよね…?こんなに至近距離で呟いた訳ですし、当然耳に入って――       「なっ…!?あぅぁ…っ…!」       神崎さんはあちらこちらに目線を反らしながら、羞恥に染まったような表情を見せると、今度は顔を両手で隠してしまいました。   その一連の動きが僕には麻薬のような症状を引き起こし、もっと見てみたいという欲望までもが浮かび上がってきます。     ですが、神崎さんの夢と言うのも聞いてみたいので、その欲望は胸の内に秘める事にしましょう。       『それで…神崎さんの夢とは一体…?』     聞いてみると、神崎さんは思い出したように声を漏らした後、両手を顔から離して教えてくれました。     「私も女。男が嫌いだと言っても、やはり憧れたりするんだ。だから、睦月が倒れていた時……な…」   『それじゃあ、僕は神崎さんの夢を一つ叶えられた…と言う訳ですね?』       小さくコクン…と頷く神崎さんの顔は未だに赤味を帯びていましたが、その表情は乙女そのものでした。   いくら大人びた口調でもやはり女子高生。僕みたいな者の目から見ても、神崎さんは立派な乙女です。         「……それに、自分が好いている者にするならもっと嬉しいんだ」         っ…!これは不意打ちでしたよ…?ちょっと……いえ、かなりドキッとしました。 僕ってこんなに感情の高まり方が早かったんでしょうか…僕まで恥ずかしくなってきましたよ……     「んっ、あまり動かないでくれないか?痛いからかもしれないが、動かれると……その……」         そう言えば、神崎さんの服装は長袖の白いインナーの上にカーディガンを羽織り、膝上位の長さのスカートを履いています。   何故、このようなアンバランスな服装なのでしょうか…?   あぁ、確かに動いたら不味いですね。一応安静にしていますが、下手に動いたらスカートが捲れてしまいますね。      
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