第十三話

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      僕がそんな事を言うと、いきなり柊さんが立ち上がり、僕の前に立ちました。 更にはTシャツに手を掛け、もぞもぞと脱ぎ始めます。   ……何気に目のやり場に困るから目の前は止めてほしかった……       「じゃじゃーん…なの…」   「飛鳥ちゃんはスタイルが良いけど、若干暗い印象があるから、水着は明るい黄色のビキニにしてみました☆」       門宮さんと言う通り、柊さんは明るい黄色の配色のビキニを着て、普段の柊さんとは違う……少々テンションが上がっているようでした。   しかし、柊さんを見て思ったんですが、皆さん肌綺麗です。 透き通るように白い肌。 太陽光で日焼けをしてしまうには惜しいですね……       いえ、別に日焼け止めを持ってはいないから、僕は無力です…… 恐らく皆さんは持っていると思いますから、各自で塗っているでしょう。   僕が塗る、なんてイベントがあったら逃亡しますわ。             「……よいしょー…なの」       物思いに耽っていたら、柊さんが胡座をして座る僕の上に背を向けて乗ってきました。   ……さて、何から突っ込んで良いのやら………取りあえず急いで取り出したタオルを僕の足の上に敷き、直接触れると言う限界ギリギリの状況は回避できました。     あのですね、僕達は海に遊びに来たわけですから、今のように座っているのはあなた方を待っていただけなんで……     それに、散々言っているつもりですが、あなた方は女性としての自覚をして下さい。   今は僕も我慢していますが、普通ならばハーレム状態で、更にこうやって直接肌が接触すると……多分手を出しているかもしれません。       やはり男(僕)と言う生物は女性に弱く、また、欲望も強いのです。 だから欲望に身を任せて理性を崩したり、己の過去の記憶が気になる感覚が次第に増えていくのです。     記憶の方は初耳…?     確かに言ったのは初めてですが、実際は確実に大きくなってきています。 それと、胸にぽっかりと空いた記憶の穴……それによる巨大な虚無感が僕の心の悲しみを鳴り響かせるんです。   ここ数日は大丈夫でしたが、前はあまりの虚無感から、何もしていないのに涙がボロボロと……      
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