第十三話

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        まぁ、その虚無感が無くなったら次は頭が割れるんじゃないか、と言う位激しい頭痛が走るんですよね。   そして、その時だけ何故か過去の記憶の断片が浮かび上がるんです。     それも決まって幼少の頃の僕と、一人の少女が遊んでいる場面。 この少女の顔に靄が掛かったように……黙視する事が出来なかった。       どうしても思い出したい。       その思い……いえ、その欲望が時々僕を支配して、稀に神崎さんや柊さんから距離を取ってしまいます。   何故距離を取るのかは不明ですが、近くにいれば何かをしてしまうのではないか……と言う恐怖心も加わり、情緒不安定になるんです。       酷い時なんて壁に頭をぶつけ、布団に体をくるませ、永遠と体が震えたり……   また、自らの体を傷つけてしまうのも多発してきました。 こうでもしないと自尊心が保てなくなり、精神までもがイカれてしまうかもしれないんです。     勿論、神崎さんや柊さんには伝えていません。無駄な心配は掛けさせたくありませんし、何よりも彼女達に危害を加えてしまうからです。   もしも、僕がそれ等で彼女達を傷つけてしまったのならば、罪悪感も加わって本当に僕は精神崩壊を引き起こすでしょう。         人間は誰しも完璧ではない。   それは人が人である限り。     誰にだって間違いはある。   それが人間であるから。         しかし、間違いの規模が広いとそれは間違いでは無くなってしまうだろう。   僕は、規模の広い間違いを犯してしまうであろう。       早く、己の記憶を取り戻さない限り……未来永劫、いつの日か必ず…!      
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