第十三話

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      今、丁度睦月が走り出した。 これで三度目となる駆け足。   私、神崎 椎名は今、雅と飛鳥と共に身を潜め、睦月の行動を見ていた。   先程まで砂浜で涙を流していたら、二人がやって来た。そして雅がこう言ってきた。     「睦月君を少し観察してみようっ☆」     などと言う、睦月個人の問題を少々詮索する内容の事であった。 私も、今の睦月の考えが一つも読めずにその提案に乗ってしまう。   飛鳥は最初から乗り気では無かったようで、早く睦月の所へ行きたいと全身が物語っていた。       「むむっ、睦月君が移動し始めたから、私達も出発だよ!」   「…やー…なの……むつきぃ」   「あぁ、行くとしようか」       雅は嫌がる飛鳥を軽々と抱え、人一人抱えているとは思えないスピードで私と一緒に駆け出した。   うーむ…やはり雅は凄いな。 私には到底真似できそうにない技量だ……転んだらどうするのであろうか?     「あぅあぅ…がくがくぅ~」     飛鳥が目を回していた。 ……確かに、この速度で走れば揺れが激しいだろう。   雅は飛鳥の頭を撫でながら「我慢我慢っ☆」とあやしていた。 飛鳥は諦めたのか、雅にされるがままの状態になって……       「あははっ!今夜は睦月君にいっぱい癒してもらわないとね☆」   「うみゅ…むつきに…癒される…?………ぽっ」       飛鳥は両手で頬を抑え、若干顔を赤くしていた。 飛鳥、君は一体何を考えたのだろうか?私なら…そうだな、マッサージでもしてもらおうかな。     「しーちゃん、睦月君に性的なマッサージを頼むなんて…えっち!」   「ちっ、違う!それに人の心の内を読むんじゃない!」       み…雅…!やはり雅は侮れない……昔から雅は私よりも一枚上手だからな。    
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