第十三話

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      私をからかってくる雅だったが、落ち込み気味だった私を元気付けるためだったのだろう…と自己に言い聞かせた。   雅のような者であれば、何でも出来そうな気がしてならない自分がいる。     うん?睦月が立ち止まったぞ?         「しーちゃん隠れて!」       雅に引っ張られ、私達は近くにあったベンチの後ろに隠れた。 私達が隠れた瞬間、睦月が勢い良く振り返ったのだ。   ……危なかった。 睦月は勘が良いのか…?       ―――――――――   おや?あのオレンジ色のパレオは………そうですか、どうやら今まで探していたのは無駄だった訳ですね。   ―――――――――         あうやく睦月に見つかる所だった私は一息つくが、雅は逆に溜め息を吐いていた。     「尾行失敗…!睦月君は鋭いなぁ…バレちゃったよ」   「えっ…?」       雅はそう呟いてから立ち上がり、睦月に白旗を振るように苦笑いをしていた。   私も釣られて立ち上がると、睦月はしっかりと私達の隠れていたベンチへと視線を向けていた。   不覚…無念だが、見つかって良かった通う。    
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