第十三話

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        『暴言を吐くのはこの口がいけないんですか、この口が?』     神崎さんにまた近づき、頬を両手で軽く摘みます。 む…柔らかいです。 ふわふわです。   しかし……安易に近づき過ぎたのが僕のミスでした。       「えぅ…やぁ!」       神崎さんは何を思ったのか、僕に抱き付いて頬の拘束を逃れると、力任せに僕を押し倒してきました。 神崎さんは僕の腹部に腰を下ろし、両手で僕の両手を封じ………     アレ?これ危険じゃね?     どう考えても仕返しされますよね?マウントポジション取られてますよね?         『神崎さん一体何を?』   「しらがいひゃいから、むちゅきでなおひゅ」     『えーと…舌が痛いから睦月で治す…?』       僕が訳すと、涙を止めた神崎さんは小さく頷きます。僕で治すとは一体どう言うことでしょうか?     「ん…」   『わぁぁぁ!!』       神崎さんは僕の両手から手を離し、がっちりと顔を掴んでから唇を合わせてきました。 柔らかで良い匂いで甘くて……流されたらダメです!   神崎さんの頬には涙の伝った跡が…僕が流させたんでした。 まぁ…仕方ありませんね。神崎さんの好きなようにさせてあげましょう。     キスの一つや二つ、今更動じませんよ。       神崎さんの行為は次第に過激になってきて、もじもじと体を動かして後ろに下がると、今度は手を首に回してきました。         『…っは……この色欲魔人め。いきなりキスしてくるとはどう言うことだ』   「睦月があんな飴を舐めさせるからいけないんだ……それに、私だって欲が出たんだ」       もう舌は大丈夫なのか、元の口調で返事を返す神崎さん。 僕は神崎さんの口に指を再び突っ込み、人差し指と親指で舌を引っ張り出すと、反対の指である物を摘んで神崎さんに見せます。     まぁ、それは先程と同じ飴なんですがね。所持していたのは一つだけじゃありません。      
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