第十三話

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              刹那             尋常じゃない程の痛みが、全身を貫いた。   言葉に出来ぬ程、動く事もままならない程の激痛。   まるで内部から刺激物が縦横無尽に駆け巡るが如く、鋭利な刃物で斬り裂かれたがが如く。       その異常はすぐに神崎さんにも伝わり、そして驚愕な表情を見せていた。       「睦月…!左目から血が…!」     目から血が…ですか。 しかし今の僕にはそんな事を確認出来る位の余裕は皆無に等しく、神崎さんの上から退くことも出来ない。   喋ることも出来ない位、痛覚が全身を支配していく。         『……っ…!』   「睦月…睦月…!?」       腕がガクガクと震え、体を支える事も出来ずに神崎さんの上に体を預ける。 しかし、その事に欲求など無く、激痛をひたすら耐えるしか出来ないから……     いつもの頭痛は、ズキズキ…だが、今回のは規模が違う。   三倍程痛みが増し、筋一本も動かせない位……よく気を失わないのが不思議だ。     これは何かの予兆なのか…はたまた、記憶が少しずつ戻っている代償なのか………それは誰にも分からない。         しばらくして、僕の意識は混沌の闇の中に堕ちていくのであった……    
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