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裏事情はさて置き、あーだこーだやっていたら僕が降りなければならないバス停に着きました。
柊さんには退いてもらい、三人に見送られながら降りていきます。
そうそう、神崎さんにも柊さんと同じように頭を撫でてあげたら、口をパクパクと開けたり閉じたりして目も泳がせていました。
まったく、恥ずかしいならば弾けば良いのに……と思っても止めない僕がいた。
さて…喫茶店へと向かいますかね。全てを取り戻すために、全てを思い出すために……覚悟しよう。
ここから数分歩けば喫茶店にたどり着くので、その数分間が僕にとっての覚悟を固める大切な時間になるでしょう。
………覚悟…です。
喫茶店の入り口の前に立つ僕。
入り口のドアには『OPEN』と言う小さな看板が掛かっていて、ドアを押して喫茶店へと入っていきました。
中に入ると、まるで僕を待っていたかのように、マスターと柳葉 祐介君だけが佇んでいました。
そして二人は僕に背を向けたまま、ゆっくりと会話を始めます。
「さて、マスターの淹れてくれた紅茶も旨いが…やはり俺には彼奴の珈琲が一番だな」
「えぇ、彼の淹れた珈琲は私も絶賛だからねぇ……早く戻ってきてほしいです」
ちょ…せめて振り向いて下さいよ。無視されたら悲しいじゃないですか…!
「マスターもそう思いますよね?だから、私利私欲のためにもいっちょやりますか」
「ふむ…祐介君、全て君に任せましたから」
柳葉君はようやく振り向いて僕を見てくれました。
しかし、その瞳は明らかに殺意を感じる物で、思わず全身が震えます。
……柳葉君が瞬きをすると、瞳はいつも学校で見る瞳に戻っていました。
「睦月、死ぬ覚悟は出来ているな?その覚悟がなければ……いや、ここに来た時点でお前は死ぬ。
黙って着いて来い」
僕はその表情と瞳で全てを悟り、柳葉君の後を着いて行きながら喫茶店を出て行った。
「See you again MUTSUKI」
喫茶店を出た直後、マスターからそう呟かれたかのように聞こえた。
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