第十四話

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      脇腹に一撃入った時、柳葉君の表情は痛みに歪むが、再び拳を振るってくる。   だけど、空いている膝で背中を蹴り飛ばし、両手で柳葉君の体を弾き飛ばした。     口に溜まる血を吐き捨て、歯を強く噛み、今度は僕の方から殴りかかる。   僕の拳は柳葉君の頬に突き刺さり、柳葉君は仰け反るが踏みとどまる。 そのまま手を滑らせて首を掴み、握力で首を締めながら崩れた体制を更に崩し、地面に叩き付けた。         「……がはっ……」   『何故…こんな事を…』     「ふんっ、自分の胸に聞けや」       柳葉君は僕の手を右手で掴み、左手で肘を殴り付けてきた。 激痛が腕に走り、腕に力が入らなくなって柳葉君の首から手が離れてしまった。     柳葉君も口に溜まった血を吐き捨て、手の甲で拭うと再び胸倉を掴んでくる。 そして、そのまま額と額が激しく衝突……脳が揺さぶられ、一瞬だけ視界がぼやけた。         「明日原 吹雪を思い出せ! てめぇの想いはその程度だったのか!?舐めんじゃねぇぞ!」             …あすはら…ふぶき…?     あすはら…明日原…?   ふぶき…明日原 吹雪…?           明日原 吹雪………あぁぁ…あぁあぁああぁぁ!!!!      
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