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こうすれば…流石の神崎でも嫌がり、俺を嫌い、二度と顔を合わせる事もしないだろう……
そんな考えは甘い…甘過ぎた…
「少年に襲われるなら…私はそれを受け入れよう」
『何で…お前はここまで冷たくしても…ここまで酷い事をしても逃げようとしないんだ…!?』
ついに、積み重なる神崎への思いをぶちまけた。
嘆くように…囁くように…弱々しい声で……
「私は昨日初めて少年と出会った時から、今日の今までずっと考えていた。
少年と目を合わせた時、少年と話している時、私の胸がドキドキと鼓動を速くさせ、体が火照っていくように熱くなる……
それが今はっきりと分かった…
私は少年が…神流睦月を好いていると…」
…頭の中が真っ白になった……
神崎が俺を好き…?
出会ってたった一日だぞ…?
『からかって…るんだろ…?』
「嘘では無い…ほら、この様に私の心臓が凄く速く動いてるだろう…?
これは近くに少年がいるからだ」
そう言って神崎は自らの左胸に俺の手を当ててきた。
感触など分からない位、俺は何も考えられなかった。
唯一分かったのは、神崎の心臓が急速に動いている事だけだった。
「だから…私は少年に襲われても、抵抗はしない」
神崎は頬を紅潮させ、目線を横に逸らした。
直後、俺は一気に目が覚め、神崎の上から素早く飛び退いた。
何をしていたんだ俺は…!?
『すま…ない…!
今は…混乱している…
一週間の猶予をくれ…』
「……うむ…返事を待っているぞ……」
そう言って、俺等は逃げるようにして足早に別れ、帰路についたのであった。
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